Amazon KDPにおけるW8-BENフォームへのマイナンバー記入について

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冒頭でいきなり結論ですが、Amazon KDPによると、IRS W8-BEN Formに自国のTINとして日本のマイナンバーを入力することはできません。

個人の方で源泉徴収税の免税を希望される場合はITINを米国領事館等で申請してくださいとのこと。

法人の方は法人番号を入力することは可能ですが、個人、個人事業主の方がマイナンバーを入力することはできません。

日本のTIN(納税者識別番号)は個人の場合はマイナンバー、法人の場合は法人番号であるとOECDの公式Webサイトで宣言されています。

しかしながら、マイナンバーは番号法という法律のもと、利用目的が限定されています。

Amazon KDPに問い合わせた結果、マイナンバーを税のインタビューで利用できない理由としては、日本の番号法により法令違反となる疑念があるためとのことでした。

番号法では、マイナンバーの収集目的や利用目的は限定されており、米国の税制優遇措置を受けるためのマイナンバー収集は法令上の利用目的から外れており、収集したりすると法令違反になるという見解であるためです。

上記の見解通りとなりますと、収集する側だけではなく、提供する側も法令違反になる可能性がありますので、マイナンバーは日本の納税者識別番号だからTINに入力してもいいだろうって勝手に解釈して入力しないほうが無難です。

「日本の納税者識別番号はマイナンバーであり、TINに入力してインタビューの登録を行うと、完了画面が表示されて源泉徴収額の表示も0%になりました!やった!」「TINは持っていないと答えるなんて間違った情報が出回っていますが、マイナンバーを入力すれば万事OK!」という具合の記事も見かけますが、Amazon KDPの公式回答として「マイナンバーは入力しないでください」ということなので、お気を付けください。

なお、銀行口座の開設等においては、IRS W8-BEN Formに自国のTINとしてマイナンバーを入力するように記入案内を出していたり、国税庁のFAQのQ3-13-2の回答では、租税条約を締結している国の法令を根拠としてマイナンバー(個人番号)の記載を求められるケースは、番号法第19条第3号に規定された場合に該当するため法令違反にはならないという見解もあります。

参考:

国税庁FAQ https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou_qa.htm

 

従って、IRS W8-BEN Formにマイナンバーを記載できないというのはあくまでもAmazon KDPにおける税インタビューにおける話です。他社においては他社の見解があるため、個々に問い合わせをするか、内閣府のマイナンバー相談窓口、あるいは法律の専門である士業の方に相談するのがよいと思います。

Amazon KDPにはFAQに記載頂けるようお願い致しましたが、会社内の方針等もあり、必ずFAQに載せるという約束はできないということでしたので、以下、Amazon KDPへの問い合わせ内容と回答内容をご紹介して参ります。今後マイナンバーを利用しても問題無いという見解になれば、米国での売上で発生したロイヤリティについて源泉徴収税30%が免税になり、ITINの取得といったハードルの高い作業も不要になるため、マイナンバーの利用ができると良いですね。(米国でたくさん本が売れる人以外はあまり気にしなくても良い話なのかもしれないですが)

 


Amazon KDP 税に関するインタビューについて


Amazon KDPはKindle向け電子書籍を出版するためのサービスです。これによって個人でも本を出版することが可能になります。冒頭で述べた税のインタビューにてIRS(米国・内国歳入庁)のW8-BEN Formの作成を行ってアカウント登録が完了した後は、実際に電子書籍コンテンツを作成して販売することが可能です。

税に関するインタビューは、米国と日本の両方で源泉徴収されるなど2重課税にならないようするためなど、税務処理に必要なインタビューです。

インタビューの登録方法についてはヘルプに動画が上がっていますので、公式サイトのヘルプを見て頂くのが良いと思います。

Amazon KDP 税に関する情報 ヘルプ

電子書籍の出版については個人事業主になる以前から興味があったものの、源泉徴収税の免除のためIRS(米国・内国歳入庁)にお願いしてEIN(Employer Identification Number)を取得し、W8-BEN formを記入して米国Amazonへ郵送・・・ハードルが高いなと思って向き合うのをやめていました。

【何やらややこしい、難しいと感じていた部分】

  • 源泉徴収税額は報酬額の30%
  • 米国の納税者番号を取得
  • W8-BENの記入と送付

個人事業主として活動を始めてからふと気になり、ひとまずアカウント登録画面へアクセスしたところ、以前よりもヘルプが充実しており、登録方法も画面ですべて済ませることができ、楽になっておりました。(画面から入力するだけになったのは結構前からのようです。)

日本と米国は租税条約を締結しており、居住地が日本であることや、米国で事業を行っているわけではないことなどを宣誓できれば米国における源泉徴収税の免税を受けることができます。(日本に税金を納めているから米国に納める必要は無いですよ、ということ。)

ただ、源泉徴収税の免除を受けるためにはTIN(納税者識別番号)が必要である点は変わっておらず、その点はややこしいと感じる部分ではあります。(個人向けにはEINは利用できず、代わりにITINというものに変わっています。)

しかしながら、よくよく考えると米国で発生した売上に対する税制優遇措置を受けるために必要なだけで、その他の国での売上には源泉徴収税額30%という大きな税率を課されることはありません。(昔はすべての売上から発生するロイヤリティに30%の源泉徴収税額が課されるものと誤解しておりました。)

どうしても免税を受けたいということであれば、現在のところ冒頭で述べたようにマイナンバーをTINとして入力することはできないため、ITINの取得が必要になります。ITINの取得はパスポートが必要になり、米国大使館、領事館に予約を取って手続きを行う必要があり、非常に労力が要ります。

そのため、まずは電子書籍を日本で売ろうという方は、免税を受けることができなくても、そもそも免税を受ける機会がほとんどないだろうという見解のもと、自国のTINを持っていないとして登録するのが無難です。本当に免税が必要になったときにはマイナンバーの入力がOKになっていたり、ITINの取得がもっと楽になっている可能性もありますので、「免税」という言葉にこだわって前に進めないよりは前に進んだほうが良いと思います。

私の場合は源泉徴収税がすべての売上に対し30%課せられるという勘違いから始まり、「TIN」、「W8-BEN」、「OECD(経済協力開発機構)」、「マイナンバー」、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)、「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律」も読んだけど、、、(専門家じゃないと厳しいですね)マイナンバーは使えるのか使えないのかはっきりしないなぁなんて色々調べて脱線中です。

 


Amazon KDPへの質問と回答について


冒頭で述べた結論に至るまで、複数回問合せを行っています。

  • マイナンバーは個人事業主であれば使えるのかどうか
  • インタビューの回答後、源泉徴収税率0%で表示されている意味について
  • マイナンバーが利用できないというのはどこ情報からの見解か

【問合せ内容01】

ご担当者様

お世話になっております。
表題の件につきまして、ヘルプの内容を熟読し、説明動画も拝見致しましたが、
マイナンバーをTINとして利用可能なのか利用不可なのか判断に迷いましたので
当該フォームよりご質問させて頂きたく存じます。

本件につきまして、ヘルプを参照致しますと、以下の一文がございます。
(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200641090)

「米国の TIN ではなく、居住国の税務機関から発行された納税者番号をお持ちの方は、
租税条約上の優遇措置を申請する際にその番号を入力できます。」

上記文面からは日本のTINであるマイナンバーが利用できるものと認識できます。
日本の個人向けTINは以下OECDに公開の通り12桁のマイナンバーと理解しております。

(http://www.oecd.org/tax/automatic-exchange/crs-implementation-and-assistance/tax-identification-numbers/Japan-TIN.pdf)

一方で、同ヘルプの文面内には以下の一文もございます。


「あなたが法人ではなく、あなたの雇用主が代わりに税務申告を行っている場合は、
税務情報に関するインタビューに入力できる自分用の TIN がないことがあります。
日本のマイナンバーは、米国の税務申告には使用できないため、
税務情報に関するインタビューでは使用できません。」


上記文面からは以下いずれかの解釈ができてしまい、
どちらが正しい認識なのかご教示頂けますと幸甚でございます。


(1) あなたが法人ではなく、あなたの雇用主が代わりに税務申告を行っている場合、
日本のマイナンバーをTINとして利用することは不可 

  → 雇用されていない個人(個人事業主本人)の場合は日本のマイナンバーを利用することができる


(2) いかなる場合においても日本のマイナンバーはTINとして利用することはできない

  → 日本の法人以外の方(会社員、個人事業主など)はいかなる場合においてもTINに
     日本のマイナンバーを利用することはできないため、租税条約上の優遇措置を受けるためには
     米国のITINを取得してインタビューに登録する必要がある。


以上でございます。

大変お手数ではございますが、上記認識のどちらが正しいのか、あるいはいずれも誤った認識であるのか、
正しい理解につきましてご教示頂けますと幸甚でございます。

よろしくお願いいたします。

【Amazon KDP回答01】

Kindleダイレクト・パブリッシングにお問い合わせいただき、ありがとうございます。

このたびは、当サイトの案内に不明瞭な点があることにより、お客様にご不便をおかけしていることをお詫びいたします。
お問い合わせの件につきまして、以下にご回答いたします。

日本の国税庁より割り当てられている個人番号(以下「マイナンバー」といいます)は、
外国の納税者識別番号としてご利用いただけません。

日本の国税庁より割り当てられているマイナンバー以外の外国の納税者識別番号をお持ちの方のみ、
税に関するインタビューで、「私は米国以外のTINを持っています 」の欄にチェックを入れた後、
該当の番号を「TIN値」にご記入ください。

(法人の方であれば、法人番号はご利用可能です)

ただし、その番号が有効かどうかはIRSよる判断となる為、その判断についてAmazonからご案内することはできかねます。

なお、米国のITIN番号をIRSに申請いただくにはW-7を記入の上、申請いただけます。
W-7は以下のページよりダウンロードいただけます。
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201622260
既にITIN等の米国のTIN(納税者番号)をお持ちの場合は、W-7の記入は必要ありません。

税に関するインタビューを受け、質問に回答すると、W-8フォームが自動で作成されます。
W-8フォームは、TINの有無に関わらず、米国以外の出版者様が税に関するインタビューを完了すると作成されるフォームです。

ご案内は以上となりますが、KDPではお客様に満足していただけるサービスを提供できるよう努力してまいります。
今後ともよろしくお願いいたします。

【問合せ内容02】

なお、インタビューにおいてマイナンバーを登録すると、検証完了となり、税率が0%で表示されます。

これはマイナンバーが利用できるということではなく、インタビューに回答したことで、
租税条約上の優遇措置を受けることができる国毎の税率が表示されているだけの状態ということでしょうか?

従って、実際に米国で売上が生じた場合には、システム上0%で表示されていても、IRSでの照合ができず、
デフォルトの30%の税率が適用される可能性があるということでしょうか?

【Amazon KDP回答02】

米国の源泉徴収税率が0%と表示されている場合には、通常、Amazon.comのマーケットプレイスで獲得した
ロイヤリティに対し課される米国の源泉徴収税(30%)が軽減されていることを表します。

しかしながら、繰り返しのご案内となり恐縮ではございますが、
お客様にご入力いただいたマイナンバーが有効かどうかはIRSよる判断となる為、
その判断や、入力した結果生じる事柄、今後の変更の可能性などについてAmazonからご案内することはできかねます。

ご不明な点がございます場合には、お手数ですが、米国内国歳入庁 (IRS)に
直接お問い合わせくださいますようお願いいたします。

なお、すでにお客様にもご理解いただいておりますとおり、現在のところ、
日本の国税庁より割り当てられている個人番号(以下「マイナンバー」といいます)は、
外国の納税者識別番号としてご利用いただけません。

Amazon.com のロイヤリティについて租税条約による優遇措置をご希望の場合には、
通常、個人の場合は Individual Taxpayer Identification Number (ITIN)を申請の上、
取得した番号を米国TIN(納税者識別番号)として税のインタビューにてご利用いただけます。

お客様が個人としてKDPアカウント情報をご登録いただいている場合、上記の点を再度ご確認いただき、
お客様ご自身の状況に照らして、税の情報を適切にご登録いただけますようお願いいたします。

【問合せ内容03】

「日本のマイナンバーが外国の納税者番号として利用できない」というのは
IRSからの回答を受けてのことでしょうか?それとも日本の国税庁からの回答でしょうか?
※ IRSまたは日本の国税庁から日本の番号法や租税条約に照らし合わせて「利用できない」の回答を受け、
複数種類あるW-8フォームすべてにおいて利用できないというご認識なのでしょうか?

それとも、IRS Form W-8ECI は法人向けフォームなのでマイナンバーは使えない(法人番号は可)が、
IRS Form W-8BEN は個人向けフォームなのでマイナンバーは使えるということでしょうか?
※ 以下のヘルプにはマイナンバーが利用できない旨記載がなかったため。
(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201274690)

IRSに詳細確認は行いますが、Amazon KDPとして利用できないという立場なのか、
IRSから利用できる旨回答があれば利用して良いということなのかを含めご確認させてください。

【Amazon KDP回答03】

個人のマイナンバーについては、法令上取得及び第三者に提供できる場合が限定されており、
米国の税制対応目的で収集・提供することは法令の目的に含まれていませんので、
AmazonとしてはW8 Form等のために個人のマイナンバーを取得することはできない。という事になります。

マイナンバーは管轄が総務省となり、日本の法律で定められているものとなります。
IRSの方針に関わらず、マイナンバーを提供できる場合に「外国税務目的」が含まれていない以上、
アマゾンとしてW8 Form等のためにマイナンバーの提供を受けることはできません。

なお、以前のにご案内にて、マイナンバーが有効かどうかはIRSよる判断となる旨記載があったため、
お客様を混乱させてしまったことについて、お詫びいたします。
正しい認識については、このたびご案内する担当部門からの上記回答となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

以上です。

結論、現時点でマイナンバーの登録はできません。

途中、マイナンバーを登録してしまったので再度インタビューの登録し直しです。

amazon kdp tin

 

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